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APRSAF-27

APRSAF-27

2021年11月30日~12月3日

オンライン

開催結果

第27回アジア・太平洋地域宇宙機関会議 (APRSAF-27) はベトナム科学技術院 (VAST)、文部科学省 (MEXT)、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の共催により2021年11月30日(火)~12月3日(金)の4日間 「多様なパートナーシップで宇宙イノベーションを拡げよう」 をテーマに完全オンライン形式で開催されました。

APRSAF初の完全オンライン開催となった今会合はアジア・太平洋各国の宇宙機関から15名の機関長及び代表者が出席するとともに、宇宙政策担当省庁のハイレベルの出席を得て、48の国・地域、2つの国際機関から総計843名の参加登録がありました。

昨年は開催を延期した各分科会会合についても今回はオンラインで実施し、再編された4分科会に新設の宇宙法政策分科会を加えた5分科会が多彩な参加者によって多様な観点で活発な議論を展開し、「名古屋ビジョン」に基づいて活動が進捗していることを確認し、その成果を「共同声明」としてまとめました。

1. 全体会合

チャウ・ヴァン・ミン ベトナム科学技術院(VAST)院長、末松信介 文部科学大臣からのビデオメッセージで幕を開けた全体会合(プレナリー)の2日間では ①「宇宙技術を通して気候変動と環境問題に対する取り組み」、 ②「宇宙空間の持続可能な利用のためのプラクティス」、 ③「アジア太平洋地域の持続可能な開発のためのイノベーション」 等をテーマに宇宙分野以外の多様な参加者との協議を通して、アジア・太平洋地域における宇宙活動が継続・進展していることを確認しました。以下は各セッションについての報告です。

(1) カントリーレポート

18ヵ国より、最新の活動状況、将来計画、産業振興等政策面で取組み等についての報告を共有しました。

(2) ライブセッション1:「宇宙技術を通して気候変動と環境問題に対する取り組み」

VNSC、JAXAがモデレータとなり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でも、人間の活動と地球温暖化の関係が「疑いの余地がない」と言明された「気候変動」について協議しました。ベトナム、オーストラリア、インド、フランス、そして日本の研究者らの衛星データ解析で気候変動対策に貢献していくことを確認しました。

(3) 分科会/イニシアチブ報告

11/30、12/1の2日間に行われた各分科会会合のまとめが報告されました。

(4) ライブセッション2: 「宇宙空間の持続可能な利用のためのプラクティス」

宇宙デブリ問題への取り組みについて、政府、宇宙機関、学会、そして産業界から登壇者を得、それぞれの視点が紹介されました。民間宇宙活動が急速に拡大する中で各事業者の責任ある活動を確保するとともに商業活動を更に促進していく観点からも、宇宙デブリに関連するルール作りを進めていくことが重要であるとの認識が共有されました。

(5) ライブセッション3: 「アジア太平洋地域の持続可能な開発のためのイノベーション」

全体会合の前に行われた宇宙産業ワークショップにおけるアジア地域の宇宙政策、機関投資家から見たアジア地域等をテーマとした議論を受け、宇宙産業は社会経済の発展に必要であり、宇宙イノベーションのために政府機関の役割の進化、官民パートナーシップが重要であることが共有されました。

(6) ラウンドテーブル

15ヵ国の宇宙機関長及び代表者が順に登壇したラウンドテーブルでは、APRSAF-27 のテーマである「多様なパートナーシップで宇宙イノベーションを拡げよう」に関する見解とビジョンを共有し、会合全般についての講評と今後のAPRSAF活動への期待の言葉を頂きました。

(7) APRSAF賞

今回が初授与となるAPRSAF賞については、アジア・太平洋地域の宇宙関連活動に多大な影響を与える優れた貢献を評価し、東京大学大学院工学系研究科 中須賀真一教授に「アジア・太平洋地域優秀賞」が授与されました。

(8) 成果文書

APRSAF-27における議論をまとめ、成果文書として 『共同声明 (APRSAF-27 Joint Statement)』を採択しました。

2. 分科会・ワークショップの結果

全体会合で報告された各分科会・ワークショップでの協議結果は以下の通りです。

(1) 社会便益のための衛星利用分科会(Satellite Applications for Societal Benefit Working Group, SAWG)

新たに再編されたSAWGにおいては、名古屋ビジョンの実現に向けて、従来の2つのイニシアチブであるセンチネルアジア(災害監視)とSAFE(気候変動・環境監視)のセッションに加えて、測位衛星セッションを開催してMGA(Multi-GNSS Asia)等の活動が共有された。次年度のAPRSAF/SAWGにおいても測位衛星セッションを開催し、地球観測・測位衛星等の統合利用を検討するためのセッションを継続することで合意しました。
また、センチネルアジアにおける災害緊急観測とSTEP3(発災後の災害状況把握、減災および復興を包含した災害サイクルに対応した活動)の自律的な多国間協力による進展および仙台防災枠組への貢献を確認しました。さらにはSAFEにおけるISROやGISTDA等との多機関協力における農業プロジェクトの進展とASEANの食料安全保障情報システムプロジェクトにおけるコメの作況見通しレポートでの利用等でのSAFEプロジェクト成果の利用の定着を確認しました。

(2) 宇宙能力向上分科会(Enhancement of Space Capability Working Group, SCWG)

アジア・太平洋地域の宇宙技術開発能力を向上させるため、また、技術的基盤の確立と強化に貢献することを目的に今回初会合となったSCWGでは、①各国における超小型/小型衛星の活用、小型衛星の能力向上に資する要素技術に関する情報交換、デブリ問題への技術的なアプローチに関する情報共有、②システムズ・エンジニアリングおよびプロジェクト管理(SE/PM)の実例の共有、③安全性とミッション保証(S&MA)に関する情報交換を実施しました。
2日間で総計100名を超える参加者が音声やチャットで闊達に意見を交換しました。技術セッションでは、各国の研究開発活動と宇宙関連企業の製品・事業計画が共有されました。SE/PMセッションでは慶應大学大学院シテムデザイン研究科の協力を得てブレイクアウト・セッション(小集団討議)を実施。S&MAセッションでは参加者全員でのラウンドテーブル協議を通じて、参加者間での相互理解を醸成し、この地域におけるSE/PM及びS&MAコミュニティ形成の基盤を作りました。

(3) 宇宙教育for All分科会(Space Education for All Working Group, SE4AWG)

新たなプレイヤーとして高等教育関係者(UNISEC、大学等)を迎え、コロナ禍を乗り越える宇宙教育、全ての人々のための宇宙教育をテーマに9か国・1国際機関から宇宙教育活動報告、教材紹介が行われました。また今後については、高等教育セッションの継続、ベストプラクティスに関する情報交換が奨励されました。

初めての取り組みとして、オンラインによる水ロケット大会を開催しました。
12か国から生徒64名、教育者29名が参加。表彰者の国名は以下のとおりです。
1位:コロンビア、2位:韓国、3位:韓国、チーム賞(フェアプレイ):中国
次回に向けデータ取得ユニット(加速度、角速度、高度を計測)の改良を図ることを確認しました。

昨年に続き、オンラインのポスターコンテストを開催しました。APRSAF参加者投票の合計と一般投票の合計の重みが等しくなる集計方式を採用しました。10か国から30作品がエントリーしました。表彰者の国名は以下の通りです。
最優秀賞マレーシア、優秀賞 中国、マレーシア、VNSC賞インドネシア、JAXA賞 中国

(4) 宇宙フロンティア分科会(Space Frontier Working Group, SFWG)

Kibo-ABC加盟機関の飛躍的増加に伴い、過去最多の発表国・地域数を得て開催しました。植物栽培やロボットプログラミングなどのマルチの教育ミッションへの強い期待と重要性が示され、また新たな「きぼう」利用提案が示されバイ協力案件発掘につながりました。国際宇宙探査に関しては、アルテミス計画、ISECG、更に各国の探査計画に係る情報交換を開始しました。

宇宙フロンティア分科会 (SFWG) 2020-2021活動報告

(5) 宇宙法政策分科会(Space Policy and Law Working Group, SPLWG)

新設された分科会で、今回が初の会合開催となりました。ホスト国の政府・宇宙機関・大学等と公募セッションの代表者からなる組織委員会により企画・運営し、セッション及びプレゼンを公募する新方式で開催しました。宇宙法制イニシアチブ(NSLI)に関するセッションでは、NSLIでとりまとめた各国国内法制に関する報告書が国連宇宙空間平和利用委員会法律小委員会に参加9か国から共同提出された成果が歓迎され、期間延長により第二フェーズが開始されました。また、地域の最新の宇宙法・政策の紹介、気候変動や宇宙の持続性等のグローバル課題に関するセッション、大学の役割や政策論理等の学術的論点に関するパネル等多様なテーマに関する活発な議論があり、両日とも約100名の参加がありました。本分科会が地域の共通課題の意見交換の有効なプラットフォームとなること、今後もグローバルな課題に地域として議論していくことが確認されました。

(6) 宇宙産業ワークショップ (Space Industry Workshop: SIWS)

APRSAFとして初めて開催しました。関係府省の支援の下、SPACETIDEと共催する形で実施しました。3つのパネル討論を通じて、アジア太平洋地域の宇宙産業振興の現状と目指すべき方向性を議論。パネリストには、政府機関に加え、欧米の機関投資家及びアジア地域で活躍するスタートアップの代表者等を招き、従来にない観点で活発な議論が行われ、全体会合ライブセッション3に展開されました。

3. APRSAF期間中の企画

7件のイベントがオンラインで開催されました。(  )は主催団体

  • Cosmic Sandbox workshop | Earth Observation for Disaster management and risk reduction
    (Asia Pacific Oceania Space Association)
  • Norms in Space: Exploring Asia-Pacific Perspectives
    (Daniel K. Inouye Asia-Pacific Center for Security Studies)
  • Democratising Earth Observation by Making Smarter Satellites (Spiral Blue)
  • Asia-Pacific Space Generation Online Workshop 2021
    (Space Generation Advisory Council : SGAC)
  • Building Resilience Using Open Data Cube (ODC) in Post-COVID Era
    (Taiwan’s National Space Organization (NSPO) / National Applied Research Laboratories (NARLabs))
  • The Global Expert Group on Sustainable Lunar Activities: status and perspectives
    (Moon Village Association)
  • Expanding Domestic Industrial Space Capabilities for the National and Regional Benefit
    (Surrey Satellite Technology Ltd)

次回APRSAF-28 (2022年)はベトナムでの開催が決定しています。
また、インドネシアでの開催が確定している2023年度開催回について第29回 (APRSAF-29) となることを確認しました。

Sponsorship

(Alphabetical Order)

APRSAF産業ワークショップ(SIWS)協賛

APRSAFセッション協賛

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