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APRSAF-25

APRSAF-25

2018年11月6日~9日

シンガポール Singapore

開催結果

第25回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-25)はシンガポール宇宙技術協会(SSTA)、文部科学省(MEXT)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共催により2018年11月6日~9日にシンガポールで、「進化するニーズに応える革新的な宇宙技術」をテーマとして開催されました。

今年は、アジア各国の宇宙機関から機関長4名及び副長官級5名の合計9名が出席するとともに、宇宙政策担当省庁のハイレベルの出席を得て、29か国・地域、9国際機関から384名が参加しました。
SAFEイニシアチブの新しい枠組みの立ち上げによる地域国際機関との連携強化や、革新的小型衛星の共同開発に向けたミッション案の集約、政策レベルのコミュニティの形成の促進など、技術から政策に至るまで議題が広がり、アジア・太平洋地域における宇宙分野での協力関係を更に深めていくことの重要性を認識する会議となりました。

Day1,2では、4つの分科会(宇宙利用、宇宙技術、宇宙環境利用、宇宙教育)が各々以下のような重点事項に焦点を置いて議論が行われました。
(1) 宇宙利用分科会:持続可能な取組のための利用機関等との連携強化
(2) 宇宙技術分科会:地域の宇宙技術力向上のための協力活動の議論
(3) 宇宙環境利用分科会:ゲートウェイとしての「きぼう」を活用したアジア地域の発展
(4) 宇宙教育分科会:次世代人材育成

本会合1日目は、SSTAジョナサン・ハン会長による歓迎挨拶、総合議長である岡村審議官(文部科学省大臣官房審議官)による開会の挨拶、また、日本側共催者であるJAXA山川理事長による基調講演から始まりました。
この日のセッションでは、APRSAF-24の報告及びAPRSAF運営委員会による活動報告、各国及び国際機関等から最近の活動状況及び宇宙産業振興政策について報告が行われました。各国における課題の共有が図られ、国際協力の重要性を再認識する機会となりました。

また、午後からは2つのパネルディスカッションが行われました。

宇宙機関長セッションでは、9名の機関長クラスのスピーカーが登壇し、「社会課題解決の鍵となる革新的な技術開発の取り組みについて」をテーマに、各宇宙機関における災害や気候変動などの社会課題解決に向けた衛星開発や衛星データの利用などが紹介されました。セッションの中では、宇宙技術利用促進を図る上での民間企業との連携の重要性が指摘され、また、各国の共通課題としてSDGs達成に向けた衛星などのデータや知見、経験などを共有するプラットフォームの構築について提案があり、スピーカーから賛意が示されました。

SSTA主催セッションでは、シンガポールの企業や大学等が参加し、衛星開発、通信、測位等の分野におけるシンガポールの最新宇宙技術の研究開発とその応用について紹介がありました。シンガポールは、イノベーションへの許容力や多様性の面で優れていますが、製造を担うサプライチェーンの確保が課題として挙げられました。

本会合2日目は、2つのパネルディスカッションが行われました。

宇宙政策セッションでは、日本(経済産業省)、オーストラリア、インド、インドネシア、韓国、ベトナムの政策担当省庁・機関が各国の宇宙産業促進政策を紹介し、その課題や成功要因、協力可能性について意見交換を行いました。経済産業省からは、衛星データプラットフォームTellus、みちびきのアジア・オセアニアでの利用促進、S-Booster等のビジネス・マッチング施策を柱とするダウンストリームに重点を置いた政策が紹介され、民間の小型衛星開発支援や「きぼう」利用等のJAXAの技術や既存アセットを活用した民間事業支援策に言及がありました。参加者からは、法規制の整備、宇宙参入機会の理解増進、事業の長期継続可能性、革新的技術獲得の機会などがポイントであることが指摘されました。

宇宙探査セッションでは、日本(文部科学省、JAXA)、アメリカ、インド、インドネシアの宇宙機関、オーストラリア企業、東京理科大が参加し、各国の宇宙探査計画における宇宙機関と産業界・大学の連携について紹介され、アジアの新興国や民間企業等の宇宙探査への参画機会について議論を行いました。文部科学省からは、ISEF2の成果を紹介するとともに、JAXAからは宇宙探査イノベーション・ハブの取組みとして、日本企業との連携例を紹介しました。
またアジア・太平洋地域において、宇宙探査に係る議論や情報交換を継続することの意義が認識され、次回APRSAFでも宇宙探査の議論を続けていくことが確認されました。

APRSAF-25での議論を受け、宇宙リーダーによるラウンドテーブルにおいて、宇宙活動の今後の方向性及びAPRSAFに対する期待について、意見交換が行われました。スタートアップを含む産業界や次世代人材との対話の場を設けること、地域の取組とグローバルな取組とを結びつけていくことが重要であるとの意見が出され、APRSAF-25の成果はジョイント・ステートメントとしてまとめられ、参加者により確認されました。

この4日間の会議に併せて、宇宙教育分科会による子供・生徒向け水ロケット大会及びポスターコンテスト、WGイニシアチブによるワークショップ、そして企業・大学によるブース展示も行われ、幅広い層から参加いただける交流の場となりました。

次回APRSAF-26は、MEXT、JAXAの共催で、2019年11月下旬~12月上旬(※開催期間は4日間を予定)に日本で開催される予定です。

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