APRSAF-21

提言文

第21回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-21)
サマリ&提言
2014年12月2日~5日 東京

第21回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-21)は、12月2日から5日まで東京において、全体テーマ 「次の段階への飛躍:革新的なアイディアと解決策の提供へ向けて(Leap to the Next Stage: Delivering Innovative Ideas and Solution)」のもと、33の国・地域および12の国際機関から580名の参加者が集い、成功裏に開催された。

APRSAF-21の参加者は、

1.
前回20回記念会合での提言を受け、1年間にわたり実行委員会(Executive Committee: ExCom)にて検討されたAPRSAFの改革案のもと、今次21回会合では、より一層、成果創出を指向した活動を目指して分科会の再編が行われたことを歓迎し、
2.
APRSAF-21に参加したアジア・太平洋地域の宇宙関連機関のリーダーらによる地域協力の深化に向けた共同声明「人類のよりよい未来のための宇宙開発・探査活動に向けて」(Annex-1)を歓迎し、
3.
特に、宇宙技術を最大限に活用した社会解題解決への貢献や、利用および開発援助機関等との連携の強化ならびに持続可能な解決策の提供の重要性を改めて強調し、
4.
宇宙技術とその利用の更なる普及をめざすことを確認し、
5.
国際宇宙ステーション(ISS)を利用した研究開発と人材育成・能力の向上の推進を歓迎し、
6.
国際的に検討が進められている宇宙探査の議論を歓迎し、その推進を積極的に支援していくことを奨励し、
7.
長期的な宇宙活動のために、協調してルール制定に取り組んでいくことの重要性を確認し、
8.
次世代を担う若い世代の人材育成の取り組みをより一層推進していくことを確認し、
9.
4つのイニシアティブ及び再編後の4つの分科会からの活動報告を歓迎し、活発な活動を評価し、以下のとおり、各分野での活動結果を確認し、今後の活動に関する以下の提言を行う。

APRSAFイニシアティブ

【センチネルアジア】
10.
センチネルアジアが、宇宙機関と災害管理機関が共同で取り組む災害管理支援システムとしてAPRSAFから生まれた最初のイニシアチブであり、参加する機関が増加していることを確認した。現在、センチネルアジアは、STEP-3フェーズにあり、自然災害の発災前の予防と復旧に力を入れている。
11.
センチネルアジアをさらに活発化させ、期待される機能の強化を行うために、センチネルアジアをさらに発展させる必要性を確認した。
12.
共同プロジェクトチーム(JPT)会合及びAPRSAF-21での宇宙利用分科会で議論されたセンチネルアジア発展のための計画をレビューした。
13.
発展のための計画は、共同推進(Joint Drive)、ユーザ指向(User-Oriented)、戦略的運営(Strategic Management)の3つの概念から構成される:
(共同推進) 各参加機関の寄与を増やし、アジア開発銀行(ADB)、国際協力機関(JICA)、世界銀行(WB)等の開発援助機関との効果的で持続可能な協力を強化・活性化する。また、関連する他の国際的な枠組みとの協力も行っていく。
(ユーザ指向) 災害の現場や地方のニーズに直接かつ迅速に応えるために、センチネルアジアは、ハザードマップ作りや発災前後の情報の蓄積を行う必要がある。また、災害時のコミュニティでの対応強化のための教育が必要である。
(戦略的運営) これらの活動を戦略的に推進するために、「運営委員会(steering committee)」を設置すべきである。

<提 言>

14.
センチネルアジアへの提言は以下のとおり:
A)
共同プロジェクトチーム(JPT)からの発展のための提案を歓迎し、文部科学省およびJAXAによる主導と各機関の積極的な参加のもと活動を推進する。
B)
行動計画を策定するための運営委員会を設置することを奨励し、次回のAPRSAFで報告することを奨励する。運営委員会の事務局はJAXAが担う。
【SAFE】
15.
メコン川委員会から提案された、「越境貯水池での意思決定支援」に関する新規プロトタイプの立上げを歓迎するとともに、継続中のプロトタイプの順調な進展を確認した。
16.
インドネシア農業省(MoA)・農業土地資源研究開発センター(ICALRD)の干ばつ監視案件、カンボジア水資源・気象省(MOWRAM)の水資源管理案件、バングラデシュ地方行政技術局(LGED)の沿岸監視案件とインドネシア国立宇宙航空研究所(LAPAN)のマングローブ監視案件の成功裏の完了とその成果の持続的な利用を実現する取り組みを認め、歓迎する。
17.
現地のステークホルダ間の協力のもと、干ばつ監視のためのICALRDによるプロトタイプの結果が継続的かつ成功裏に運用されていることを歓迎する・
18.
ユーザ機関や開発援助機関との連携を強化するため、ステークホルダ会合や国際会議(マレーシア地理空間リモートセンシング協会(IGRSM)国際会議、アジアリモートセンシング会議(ACRS))において、社会課題と宇宙技術に対するニーズ、実際の社会課題と解決に向けた取り組み事例の紹介があったことを確認した。
19.
宇宙利用分科会(SAWG)の再編を踏まえ、地球観測技術と測位・通信技術も含めた精密農業等に関する予備調査が検討されていることを確認した。

<提 言>

20.
SAFEへの提言は以下のとおり:
A)
これまでに推進してきたプロトタイピング活動に関し、関連のユーザ機関や開発援助機関等との連携促進を図りながら、2年間の活動終了後に現地の機関での定着へつなげていくことを奨励する。
B)
地球観測技術と測位・通信技術の融合利用の事前研究を奨励し、次回APRSAFにてその検討結果について報告することを要請する。
【Climate R3】
21.
Climate R3は、ワークショップの開催や種々の科学活動を通じて、アジア太平洋地域における気候監視の分野において、衛星データニーズと利用の促進および調整を行う重要な役割を果たしてきたことを確認した。

<提 言>

22.
Climate R3への提言は以下のとおり:
A)
イニチアチブの立ち上げから3年間における様々な成果をもって、本APRSAF-21会合でClimate R3を終了することに合意する。
B)
Climate R3の成果を最大限に活用し、アジア太平洋地域に最も貢献する新しいAPRSAFのイニシアチブの立ち上げに向けた活動を奨励する。
【Kibo-ABC】
23.
Kibo-ABCイニシアチブ主催のワークショップを通じて、日本実験棟「きぼう」を用いた宇宙実験の計画を実現するための取り組みや、植物育成観察実験の実施について、その経験やプロセスを共有した。また、参加者間で人材開発と能力育成に向けた取り組みの重要性を確認した。
24.
アジアの種子プログラム(Space Seed for Asian Future 2013: SSAF2013)で獲得した経験に基づいて発展させた新しいミッションを開始し、2015年に実施することに合意した。
25.
アジア地域のハーブを「きぼう」で育てるミッション(Asian Herb in Space: AHiS)の実現に向け、科学的・技術的実現性の検討と地上予備実験を開始することに合意した。
26.
ANGKASA、LAPAN、JAXAの三機関が2020年までの中長期ロードマップ案を作成し、参加機関に配布する事に合意した。

<提 言>

27.
Kibo-ABCへの提言は以下のとおり:
A)
Kibo‐ABCイニシアチブへの参加機関を増やす努力を促進する。
B)
「きぼう」アジア利用推進室の主導の下に、参加国による関連情報の共有を促進する。
C)
Kibo-ABCプログラムである、アジアの種子プログラム(SSAF)、簡易落下塔実験、Try Zero G等の活動の重要性を認識し、将来の宇宙環境利用に対する青少年育成の有効性の理解に基づき、JAXAと他機関の協力拡大を進めつつ、これらのプログラムを継続することを推奨する。

APRSAF分科会

【宇宙利用分科会】
28.
旧・地球観測分科会及び旧・通信衛星利用分科会の利用分野を統合し、2014年のセッションにおいて宇宙利用分科会(SAWG)を成功裏に立ち上げた。
29.
様々な宇宙技術(地球観測、通信、測位)と、情報通信技術(クラウドコンピューティング、データキューブ等)を含む種々の地上システムの融合利用を通じて、宇宙機関、政府機関、開発援助機関、および民間企業等との協力のもと、アジア太平洋地域における社会問題を支援する様々な宇宙利用について議論を行った。
30.
実用化の成功のための衛星データ提供について、宇宙機関の多大な貢献と関与を認識するとともに、利用者ニーズをさらに強固にする努力を継続することを推奨した。
31.
開発援助機関等の枠組みを通じて、SAFEの活動がアジア太平洋地域に適用されつつある成功事例を確認した。
32.
アジア太平洋地域における重要な社会利益分野について情報・意見交換が行われたことを歓迎し、センチネルアジア、SAFE、Climate R3のイニシアチブ活動結果を確認した。
災害対応: センチネルアジアのフェーズ3における発展、災害対応、フィリピンにおける成功事例、国際的な枠組みと連携した将来の方向性を確認するとともに、測位衛星システムの活用による更なる発展について議論された。
森林応用: 主に炭素貯蔵監視と生態系の観点から、宇宙技術と国際的な枠組みの関係について議論を行った。
農業: 全球農業監視イニシアチブ(GEOGLAM)Asia-Riceを通じた米作況監視と、東南アジア諸国連合(ASEAN)協力による米作況見通しの国連食糧農業機関(FAO)への円滑な提供など、順調な活動の進展を確認した。SAFEの成果がADBの技術支援プロジェクトとして展開されていることを歓迎する。また、新たな社会課題解決事例として、精密農業に関する協力可能性を議論した。
水管理: GEOSSのアジア水循環イニシアチブ(AWCI)との継続的な知識共有と技術開発、および、国連教育科学文化機関(UNESCO)やADBとの協力による洪水警報などの分野における利用の進展を歓迎する。
将来課題: ヒートアイランド現象などの公衆衛生分野に対する、リモートセンシング技術の適用可能性を認識した。

<提 言>

33.
宇宙利用分科会への提言は以下のとおり:
A)
JICAやADB等の開発援助機関との協力プロジェクト、GEOSSアジア太平洋との相互技術支援などを通じた協力進展、および、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、ASEAN等の国際機関とのさらなる連携促進を推奨する。
B)
静止軌道衛星(ひまわり8号等)と低高度周回衛星(GCOM-C等)、さらに複数の測位衛星システムと情報通信技術の融合利用に関する新たなAPRSAFのイニシアチブ設立の可能性を検討する特別チームをSAWGに組織し、APRSAF-22で結果を報告する。
C)
データ処理、配布、情報通信等の、SAWGにおける様々な利用研究を支援する基幹技術の改善努力を推進する。
【宇宙技術分科会】
34.
宇宙技術分科会(STWG)は、宇宙技術開発を目指す国のニーズに応え、これまでの通信衛星利用分科会から、宇宙活動と利用を支える宇宙技術分野での情報交換と人材育成を行うことを目的に立ち上げられた。
35.
主に、小型衛星開発・運用、地上設備、技術管理、先端的技術、能力開発とトレーニング分野の取り組み状況の報告を中心に議論した。
36.
宇宙開発の長期的な継続性の観点から、宇宙デブリ対策の重要性を再確認し、デブリ発生の抑制や回収技術に関し、各国の取り組み報告があった。
37.
この分科会を次回のAPRSAFに向けて継続することを確認し、この分科会の将来の議論として、GNSSや宇宙科学ミッションのためのペイロード技術、地上局の相互操作性等の幅広いトピックスに関心があることを確認した。

<提 言>

38.
宇宙技術分科会への提言は以下のとおり:
A)
各国の宇宙技術、小型衛星や打上げ機会、技術管理等の活動と経験を共有し、協力機会の促進とより多くの参加を奨励する。
B)
各国の能力開発プログラム、トレーニング機会に関する情報交換の促進と参加を奨励する。
C)
デブリ対策の重要性を認識し、デブリ抑制・回収のための技術的事項についての情報交換を奨励する。
D)
上記の提言を実現するために、この分科会の活動を継続する。
E)
GNSS等の各分科会にまたがるトピックスの扱いに関し、ExComで議論する。
【宇宙環境利用分科会】
39.
「きぼう」における宇宙環境利用の現状、および船外簡易取付機構(ExHAM)や小型衛星放出機構(J-SSOD)といった新しい機能について認識した。
40.
マレーシアのマレーシアプトラ大学(UPM)およびANGKASAによって2010-2012年に実施された第1回タンパク質結晶実験の良好な結果を認識した。
41.
アジア学生による航空機実験プログラムの重要性を認識した。

<提 言>

42.
宇宙環境利用分科会(SEUWG)への提言は以下のとおり:
A)
「きぼう」の小型衛星放出機構(J-SSOD)を活用し、キューブサットや50cmクラスの超小型衛星を用いた、アジア諸国間の協力による研究開発プロジェクトを開始することを推奨する。
B)
各国の宇宙機関に対し、2020年まで「きぼう」船内実験室及び船外実験プラットフォームを最大限活用することを推奨する。
C)
アジア学生による航空機実験プログラムは、将来の宇宙環境利用に対する青少年育成の有効性の理解に基づき、JAXAと他機関との協力拡大を進めるためにも、このプログラムを継続することを推奨する。
(宇宙医学)
D)
宇宙医学と人工衛星利用を用いた学際的なアプローチによる「遠隔疫学」を促進し、公衆衛生の向上に貢献することを推奨する。
E)
JAXAを通したアジア各国の参加のもと、ISSを有人宇宙探査準備のための試験設備として活用することを推奨する。
(宇宙探査)
F)
人類による世界的な長期プログラムである国際宇宙探査に関して、アジア各国間で意見交換を継続することを推奨する。
G)
国際宇宙探査を推進する活動に対して、各国の能力に応じた参加をすることを推奨する。
H)
アジア各国の独自ミッションの実施を確実に進めるためにも、目的に特化したワークショップをAPRSAF以外に年に1~2回、アジア各国で開催することを推奨する。
【宇宙教育分科会】
43.
宇宙教育の普及のために、同分科会において、本年度はアジア地域における教員・教育関係者向けのセミナーをニュージーランドで開催し、通算で2009年より計5回の実績をあげ、開催後は自立して継続的にセミナー等を開催していることを確認した。次回セミナーについては複数の国において検討されており、時間と場所について主催者間で議論される。
44.
青少年教育の促進を目的に、宇宙教育分科会により本年で10回目となるAPRSAF水ロケット大会が開催され、今年は17か国、72名の国内予選を経た生徒が東京大会に参加し交流が図られた。また、9回目となるポスターコンテストが「Space is the Future」をテーマに開催され、述べ12か国から国内選考で選ばれた36名の生徒の作品の応募があり、活動を通じて地域の科学技術教育の促進を図っていることを確認した。こうしたイベントを来年も継続することが確認された。
45.
上記の活動を通じて、宇宙教育が次世代の人材育成に果たす役割の重要性を再確認し、国・地域レベルでのさらなる活動の推進を目的として、参加機関が新しい取り組みとして教材やツールを利用・実験する特別セッションを成功裏に開催した。

<提 言>

46.
宇宙教育分科会(SEWG)への提言は以下のとおり:
A)
宇宙をツールとして利用し、次世代の人材育成に有益な教育活動を推進することを奨励する。
B)
青少年の宇宙や宇宙技術に関する関心や革新的な思考を刺激する手法として、水ロケット大会およびポスターコンテストの活動を継続する。
C)
各国が開発した宇宙教材を共有できるよう自発的に開始された活動(セミナー含む)を継続的に強化・拡大し、宇宙教育活動を行うため国際機関や企業との協力を奨励する。

APRSAFが支援するプログラム及び活動

[宇宙活動の長期持続性に関する取り組み]
47.
宇宙活動の活性化とともに将来の世代まで継続して宇宙活動を促進することの重要性に鑑み、宇宙探査と利用の長期持続性に関する国際的な取り組みについての報告があった。
[アジア・オセアニア複数GNSS実証実験キャンペーン]
48.
第6回アジア・オセアニアGNSS地域ワークショップ(2014年10月)の開催結果を共有し、APRSAF参加国に有益な活動の議論を歓迎するとともに、マルチGNSSアジア(MGA)により多くの機関が参加することが奨励された。
[New Cooperationセッション]
49.
New Cooperationセッションは、既存の分科会には含まれない新しい利用や技術について特定する目的でAPRSAF-20において設置された。APRSAF-20での提案の進捗報告も含め、産業界での協力、小型衛星利用、次世代ワークショップ、小惑星監視ネットワーク、設計手法、宇宙港など10件の提案が発表された。これらの発表は、大学、宇宙機関、民間セクター、国際機関、NPO等の様々な機関の専門家により行われた。

<提 言>

50.
New Cooperationセッションへの提言は以下のとおり:
A)
提案もしくはそのフィージビリティ調査を提案者が開始し、その進捗を次回APRSAFで報告することを奨励する。
B)
APRSAF参加者と提案者の間の対話を促進する。
[UNIFORM(大学国際フォーメーションミッション)]
51.
UNIFORM 2号機及び3号機の開発のため、カザフスタンから5人の研究者が参加し、UNIFORM 1号機が打ち上がり、森林火災、火山活動の観測などの運用が成功裏に行われているなど、2014年のプログラムの成果を確認した。

<提 言>

52.
UNIFORMへの提言は以下のとおり:
A)
APRSAF参加者が小型衛星および地上システム技術に関する能力開発プログラムであるUNIFORM計画に参加することを奨励する。
【特別セッション】

(社会ニーズと宇宙の実利用)

53.
「社会ニーズと宇宙の実利用」をテーマとした特別セッションにおいて、衛星画像等の技術が相乗的に活用された進行中のプロジェクトが紹介され、議論が行われたことを歓迎した。宇宙機関(JAXA、LAPAN)、バングラデシュ及びフィリピンの現業機関、協力セクター(JICA)からパネリストが参加し、研究機関(豪CSIRO)が司会を行い、国家及び地域的な課題の解決に資するために協調して取り組んでいく重要性が強調された。

(国際宇宙ステーション「きぼう」とその先へ)

54.
特別セッションにおいて、国際宇宙ステーション(ISS)がいかにアジア地域の国・学生の利益となり、どのような研究および教育目的の活動をISSを利用して実施することができるかについての議論が行われたことを歓迎した。本セッションでは、野口聡一宇宙飛行士がモデレータとなり、マレーシアおよびタイからパネリストを迎え、有人宇宙活動の価値と国際的な宇宙探査の将来的展望について共有されるとともに、こうした活動を通じ次世代にトーチを渡していく重要性が強調された。
[特別講演]

(第1回国際宇宙探査フォーラム)

55.
第1回国際宇宙探査フォーラム(ISEF)の開催結果報告を歓迎し、次回日本で開催される第2回ISEFに向けて、宇宙探査分野における国際的な議論が活性化していることに対する共通認識を持った。

(日本の宇宙探査戦略:文部科学省の国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会からの中間報告)

56.
ISSプログラムへの参加を通じて獲得できる成果など、日本国内で行われている議論の主要点についての報告を歓迎し、宇宙探査の重要性と利益を強調するとともに、2016年または2017年に日本において開催予定の第2回ISEFへの多くの国・機関の参加を奨励した。
国際機関からの報告
57.
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、地球観測に関する政府間会合(GEO)、及び国際宇宙航行連盟(IAF)の代表による活動報告を歓迎した。
アジア・太平洋地域における宇宙協力に関する報告
58.
日本、米国、及び英国の代表から、アジア・太平洋地域における宇宙協力に関する活動についての発表がなされたことを歓迎した。
[APRSAF-22 & 23]
59.
2015年に次回のAPRSAF-22をインドネシアで開催されることを歓迎し、2016年のAPRSAF-23の開催についてフィリピン(DOST)からのホスト提案を支持し、今後、ExComを通じて準備が行われることを期待した。

APRSAF-21参加者は、宇宙技術の利用と応用に関する更なる可能性について議論され、分科会やサイドイベントの再編が行われ、地域のニーズに応える宇宙技術を活用した多くの新しいアイデアと、多くのプレーヤによる地域課題への解決策についての実り多い議論を行い、「次の段階への飛躍:革新的なアイディアと解決策の提供へ向けて(Leap to the Next Stage: Delivering Innovative Ideas and Solution)」のテーマのもと、更なる議論と意見交換が行われたことに満足した。

以上

Annex-I
人類のよりよい未来のための宇宙開発・探査活動に向けて
アジア太平洋の宇宙機関リーダーからの共同声明
2014年12月4日発出

1.
2014年12月4日、第21回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)の機会に、アジア太平洋地域の宇宙関係機関のリーダーが会合をもつことを歓迎し、
2.
(宇宙技術開発の発展)我々は、アジア太平洋地域において宇宙技術開発とその利用が目覚ましく発展し、経済的・社会的な発展に貢献してきたことを再確認し、今後も、地域と世界の様々な枠組みを活用しながら、より一層の情報交換を行い、宇宙開発・利用の効果的な拡大を図る。
3.
(宇宙利用)我々は、宇宙技術が、持続可能な発展と各国・地域が抱える課題の解決に貢献することを再確認し、地球観測(リモートセンシング)の技術や通信衛星の技術、地上インフラを組み合わせながら、防災や環境問題など、アジア地域共通の課題解決に向けて、共同で取り組む。
4.
(探査)我々は、人類に裨益する取り組みとして、宇宙の国際的な探査活動に向け各国が連携することの重要性を確認し、知の獲得、研究開発活動の促進に向け共同で取り組むことを期待する。
5.
(人材育成)我々は、次世代を担う若者の人材育成の重要性を再確認し、よりよい未来の実現のため、能力開発の分野で連携していきたい。