APRSAF-23

提言文

第23回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-23)
サマリ&提言
2016年11月15日~18日
フィリピン、マニラ

第23回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-23)は、アジア太平洋地域における宇宙利用の促進、宇宙技術開発の発展と共通する課題の解決に向け、地域協力の強化を目指し、11月15日から18日まで、フィリピン・マニラにおいて、全体テーマ「宇宙科学・技術・イノベーションを通じた未来構築(Building a Future through Space Science, Technology, and Innovation)」のもと、33の国・地域及び10の国際機関から576名の参加者が集い、成功裏に開催された。

APRSAF-23の参加者は、

1.
APRSAF-22で採択された提言を受け、アジア太平洋地域における課題を取り上げた既存のイニシアチブの効果的な実施を歓迎し、
2.
宇宙技術の目覚ましい進歩により、地球観測衛星から得られた情報が自然災害低減、水資源管理及び気候変動等の分野における政策決定に貢献することを認識し、
3.
地上への宇宙技術の応用を奨励するために、開発援助機関及び民間企業といった宇宙技術の利用主体との更なる連携強化の必要性を認識し、
4.
宇宙技術の研究開発に参画する国々の増加、自国の国家宇宙機関の設立及び様々な分野における協力機会の増大を歓迎し、
5.
地方、国及び地域レベルにおける専門性の蓄積を通して、アジア・太平洋地域における共通課題に取り組むための解決策に関する検討が継続されていること、並びにAPRSAFの枠組みの下での連携協力の取組みの拡大を認識し、
6.
APRSAF-23開催国であるフィリピンが開発した同国初の超小型衛星「DIWATA-1」に示されるように、衛星の開発から、打上げ、利用に加えて、これらの過程を通じた青少年教育におけるAPRSAF参加機関間の国際協力を通じた一連の成功事例を支持し、
7.
現在、国際的に検討が行われている宇宙探査活動の重要性を認識し、宇宙からの新たな知識の獲得や研究開発の加速に関するアジア太平洋地域における活発な議論の促進を歓迎し、
8.
2014年に東京において再編された4つの分科会、即ち、宇宙利用分科会、宇宙技術分科会、宇宙環境利用分科会、宇宙教育分科会並びに3つの進行中のイニシアチブとして「センチネルアジア」、「宇宙からの環境監視」(SAFE)、「「きぼう」を利用したアジア協力イニシアチブ」(Kibo-ABC)から提出された要旨報告を歓迎し、
9.
宇宙から得られる恩恵を同地域にもたらすにあたって更なる相乗効果を高める観点から、4つの分科会の参加者間の相互交流が大きく促進されたことを歓迎し、
10.
小型衛星、ISS「きぼう」利用及び宇宙探査への熱意と努力に加えて、既存のイニシアチブ促進の重要性を認識し、
11.
以下のサマリと今後の活動に関する提言に合意する。
【宇宙利用分科会(SAWG)】
12.
開催国企画セッションにおいて、アジア・太平洋地域において優先度の高い分野である気候変動に起因する自然災害へ対応するための多様な宇宙技術の効果的応用について議論し、
13.
静止軌道(GEO)衛星、低軌道周回(LEO)衛星及びICTを併用した国際測位衛星システム(GNSS)に関し、アジア・太平洋地域の安寧と繁栄に貢献を目指した統合利用について、議論し、
14.
宇宙技術分科会及びマルチGNSSアジア(MGA)との緊密な連携により、フィリピン初の地球観測小型衛星であるDIWATA-1やUNIFORM、「ほどよし」, RISING-2、アクセルスペース社の衛星、 GEO衛星等の小型衛星群、位置情報及びICTの統合利用について議論を行い、アジア太平洋地域の政府機関の意思決定に貢献している森林・泥炭火災、噴煙・煙霧監視、海洋環境監視に焦点を合わせたGEO-LEO実証プロジェクトと同様に、農業及び水資源管理分野で実施中のAPRSAFイニシアチブ及びプロジェクト、センチネルアジア及びSAFEに応用可能な検討の進捗状況を確認し、
15.
各分野における発展状況を以下の通り確認した:
A)
農業:東南アジア諸国連合(ASEAN)AFSISとの協力のもと、稲作状況を監視し、国連食糧農業機関(FAO)への稲作の収穫見通し情報の提供を行う「全球農業監視イニシアチブ」(GEOGLAM)におけるAsia-RiCEチームの活動を歓迎し、フィリピン統計機構(PSA)との米生産における台風被害評価や、SAFEプロトタイプ事業の結果を活用した統合水資源管理といった農業分野におけるアジア開発銀行(ADB)のためのAsia-RiCE技術プロジェクトを推奨した。
B)
災害監視:UNESCO、国際洪水イニシアチブ(IFI)及びADBとの協力のもと、早期洪水警戒及び警報システムを提供するGSMaPという宇宙基盤の降雨量データに関するシステムの進捗を確認した。
C)
GEO-LEO統合利用:ICTプラットフォームとの併用による、ひまわり、MODIS、GOSAT及びGCOM-W/Cを含む衛星データの統合利用による森林・泥炭火災、噴煙・煙霧監視並びに海洋環境監視のための実証プロジェクトの立上げについて、2016年9月に日本と豪州が日本において共催したワークショップの結果を検討した。
16.
これらの実証プロジェクトをAPRSAFの宇宙利用分科会のプロジェクトとして実施することを確認し、アジア太平洋地域の他の機関からの更なる参加を呼び掛け、
17.
公衆衛生といった他の応用分野を模索するとともに、同地域における宇宙利用のベストプラクティスの最大化のためASEAN、GEOGLAM、「ASEAN及び東アジアのための経済研究所」(ERIA)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)を含む枠組みのもとで実施中の地域プログラムの進展を確認し、

<提 言>

宇宙利用分科会への提言は以下の通り:

18.
ADBや国際協力機関(JICA)等の開発援助機関との共同活動、相互技術支援等におけるGEOとの協力の更なる推進、持続可能な方法によるアジア太平洋地域の課題解決を目的とした宇宙技術の効果的な応用、情報及び知識の共有及び能力開発を促進するためのESCAP、NASA及びUS-AIDによるSERVIR-Mekong、MRC、ASEAN及びERIAを含む国際機関及びイニシアチブとのパートナーシップの強化を奨励する。
19.
ASEAN及び国連ESCAP等の地域の枠組みとの緊密な調整のもと、マルチGNSS及びICT プラットフォームと組み合わせて、「ひまわり」のような静止軌道からのデータ及びGCOM-C等の低軌道衛星のデータの相乗的な利用により新規に立ち上げられた、森林・泥炭火災、噴煙・煙霧監視、海洋環境監視のための実証プロジェクトを支援する。
【センチネルアジア】
20.
センチネルアジアは、2005年に、日本の北九州において開催された APRSAF-12において立上げが決定され、本年で10周年を迎えた。この間、同地域の26か国から87の宇宙機関や防災機関等及び15の国際機関からなる計102機関が参加し、アジア太平洋地域における災害低減のため、同地域の自然災害に対して計221回の地球観測衛星の緊急観測を実施してきたことを確認し、
21.
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)及びJAXAと協力関係にあるフィリピンの他機関と共同で開発され、全球降水マップ(GSMaP)として知られる衛星基盤の降水データを地すべり警戒システムへ応用し、フィリピン地方政府による実践的な運用における有用性を検証し、「サクセスストーリープロジェクト」の前進を確認し、
22.
宇宙機関、災害対策機関及び地方政府の間の協力強化による、持続可能で自律的なセンチネルアジアの枠組みの構築を目的として設立されたセンチネルアジア運営委員会の活動が促進されていることを認識した。また、エンドユーザーによって容易かつ迅速にアクセスできる地球観測データや分析データの提供を目的とする、センチネルアジアのシステム改善の試みに関する作業部会の検討状況を確認し、

<提 言>

センチネルアジアへの提言は以下の通り:

23.
センチネルアジアの持続可能で自律的な運営体制の構築に向けて、センチネルアジア運営委員会による更なる議論を奨励する。
24.
将来可能となる宇宙技術の更なる活用を促進するために、迅速な観測と解析情報の提供に必要となるシステムの構築を奨励する。
25.
災害管理に責任を持つ機関を含むエンドユーザーによる、利用が容易な宇宙技術の活用とセンチネルアジアの最大活用により、災害対応能力の向上に取り組むことを推奨する。
26.
「サクセスストーリー・プロジェクト」により実証されたアジア太平洋地域の宇宙技術を活用した減災・防災のための実際的運用に関するフィリピンの知見の共有の重要性を強調する。
【宇宙からの環境監視(SAFE)】
27.
林野・泥炭火災、噴煙及び煙霧に関する新たな実証研究(プロトタイプ)の立上げを歓迎し、継続中の8件のプロトタイプの順調な進展を確認し、
28.
農業土地資源研究開発センター(ICALRD)及びインドネシア農業省(MOA)による稲作監視、ベトナム国家衛星センター(VNSC)及びベトナム科学技術アカデミー(VAST)による稲作監視の計2件のフォローアップ活動の良好な進展及び、各々の国において、生み出された成果の持続的で実践的な利用の実現に向けたその後の取組みを確認し、
29.
SAFE の成果の実用化を目的とするSAFEフォローアップ活動のメカニズムを定めたSAFE事務局のための運用規約(Terms of Reference)の改定版を承認した。
30.
国際機関やADBやJICA等の開発援助機関との協力のもとでのSAFEの成果の実用化の方策について議論し、
31.
宇宙技術の利用者と提供者の間の連携を強化するため、SAFEステークホルダー会合やアジアリモートセンシング会議(ACRS)等の国際会議において、社会課題に対するベストプラクティス及び解決策について確認した。

<提 言>

SAFEに関する提言は以下のとおり:

32.
アジア太平洋地域におけるユーザーの要求を満たし社会課題を効果・効率的に解決するために、宇宙技術の利用者と提供者に対して、SAFEの成果において示されたベストプラクティスの続行を奨励する。
33.
同地域において、SAFEの成果についての対話と情報共有を通じたSAFEプロトタイピンングの実施を奨励する。
34.
アジア太平洋地域における宇宙技術の実用化の促進のため、開発援助機関との更なる協力を求める。
【宇宙技術分科会(STWG)】
35.
小型衛星、国際的な連携、エンド・トゥ・エンドの宇宙技術及び他の分科会との協働取組みに重点を置き、以下の活動について満足を持って確認し、
A)
宇宙技術開発・利用における相乗効果の増大を目的とし、宇宙利用分科会と共同で、コスト効率の高い科学ミッションや能力開発のためのプラットフォームを提供する多様な小型衛星ミッションの進展と成果
B)
小型衛星のための試験設備の構築における取組みと成果並びに衛星試験の実施における考慮事項
C)
宇宙環境利用分科会との共同による、小型衛星の低コストで頻繁な打上げ・実験機会の拡大と事例及び、これらの機会の利用
D)
ミッション機器、宇宙デブリ低減、宇宙探査及びモジュラー宇宙機に関する多様な技術と取組み
E)
小型衛星及びそのコンステレーション用の地上局ネットワーク
F)
フルスケールの衛星及び小型衛星のための品質管理、プロジェクトマネジメント及びシステムエンジニアリングを含むエンジニアリング・マネジメント
G)
能力開発のための現在実施中のイニシアチブや機会の提案及び能力開発のための取組み事例
36.
小型衛星に関する開発、試験設備、能力開発・訓練及び打上げ機会ついて、出席者の間で強い関心が示され、活発な議論が行われたことを認識し、
37.
前例の無い挑戦を目指す民間セクターにより、国際的な枠組みのもと先駆け的な取組みが行われる一方で、多様な国家や大学間で衛星開発、試験、打上げ、能力開発・訓練における国際協力が拡大していることを確認し、

<提 言>

宇宙技術分科会(STWG)への提言は以下のとおり:

38.
特に小型衛星の開発と利用といった宇宙活動の実現と持続や、より多くの参加・協力機会をもたらす関係強化を目指した、アジア・太平洋地域各国における衛星及びミッション機器技術、地上システムと運用、打上げ・実験機会、試験、エンジニアリング・マネジメント及びデータ利用等のエンド・トゥ・エンドの宇宙技術に関する活動及び経験について、情報交換を促進する。
39.
地域における能力開発プログラム及び訓練機会に関する情報交換を更に奨励する。
40.
更なる宇宙開発に向けて、宇宙デブリ対策のための国際ルールに関する議論と情報交換を呼びかける。
41.
相乗効果と相互作用の強化を目指し、宇宙機関、大学、研究機関及び民間セクターの間での協力を奨励する。
42.
新たな協力活動のための環境を創出し、同地域の宇宙産業に資する宇宙技術のイノベーションを促進するために本分科会の活動を継続することを確認し、さらに共通関心事項に関する分科会間の協力を継続する。
【宇宙環境利用分科会(SEUWG)】
43.
宇宙技術の発展のための国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟 船外実験プラットフォームの有用性を認識し、
44.
打上げと「きぼう」における実験機会に関する宇宙技術分科会(STWG)との合同セッションを歓迎し、
45.
フィリピンの小型衛星「DIWATA-1」が、「きぼう」の持つ能力を活用した成功的事例として紹介されたことに着目し、
46.
超小型衛星(CubeSat)の放出及び簡易曝露実験装置 (ExHAM)を利用した材料曝露実験の概要及び将来ミッションの情報について確認し、
47.
KiboCUBEと称する超小型衛星放出のための国連-JAXA連携ミッションを例として、「きぼう」利用に対する国際的なニーズが高まっていることを認識し、
48.
インドネシア、マレーシア及びシンガポールにより、超小型衛星(CubeSat)の放出と材料曝露実験機会の促進に関する報告が行われ、
49.
2016年4月に、第2回宇宙環境・「きぼう」利用ワークショップ(SEKUW)がマレーシアANGKASAとの共催によりクアラルンプールにて成功裏に開催され、マレーシアから、「きぼう」船内及び船外実験装置を利用した新たな実験テーマが提案されたことが着目され、
50.
これまでのワークショップにおいて新規利用テーマの検討及び相互調整が効果的に行われるとともに、2017年に第3回宇宙環境・「きぼう」利用ワークショップ(SEKUW)がタイで開催予定であることを歓迎し、

<提 言>

宇宙環境利用分科会(SEUWG)による提言は以下のとおり:

51.
「きぼう」の利用をさらに拡大し、2024年までのISS運用における日本の参加延長の利益を最大化することを奨励する。
52.
超小型衛星(CubeSat)放出ミッションの社会的価値及び肯定的な影響力、また衛星設計のための材料曝露実験の利点に鑑み、「きぼう」船外実験プラットフォーム(EF)利用に向けた準備促進を呼びかける。
【Kibo-ABC】
53.
2016年9月に、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ及びベトナムの計6カ国のアジア諸国の参加により実施され、アジア太平洋諸国の社会に好意的な影響をもたらし成功した事例とされたAsian Try Zero-G 2016に係る取組みと成果に関する情報を確認し、
54.
Kibo-ABCミッションにおける経験をもとに、アジア太平洋地域の参加機関が、JAXAとの協力の拡大を図るとともに、参加国が主導するミッションに着手したことを認識し、
55.
Asian Try Zero-G 2016の成功を踏まえ、政府機関間の効果的な協力事例となることを目指し、日本人宇宙飛行士のISS長期滞在の機会を活用したKibo-ABCミッションの実施計画案が検討され、

<提 言>

Kibo-ABCへの提言は以下のとおり:

56.
「きぼう」利用促進の影響力と、特にこれらのミッションのアジア太平洋地域の青少年にとっての重要性を考慮し、より多くの人々の積極的な参加を通じた成果の最大化を目指し、政府及び国家機関レベルにおける地域協力プログラムとしてのKibo-ABCミッションの向上を奨励する。
【宇宙教育分科会(SEWG)】
57.
次世代の発展のための宇宙教育の役割の重要性を確認し、国家及び地域レベルでの取組みの更なる促進を目指して3年間に亘り取り組んだ、教材及び教育用ツールを紹介した特別セッションの成功を祝うとともに、入手が容易で安価な材料を使用した教材やハンズオン活動に使用するツールの紹介と実践が二機関により実施され、
58.
宇宙教育の促進を目指した教員・教育者向け宇宙教育セミナーを、アジア太平洋地域において来年度開催することを確認し、

(水ロケットイベント)

59.
宇宙科学・技術への興味関心を高め国際理解を深めることを目的とした導入プログラムとして、宇宙教育分科会の主催により今年で12回目となるAPRSAF水ロケット大会が、2016年11月12日~13日、ラグーナのフィリピン大学ロスバニョス校において成功裏に開催されたことを歓迎し、
60.
同水ロケット大会には、アジア太平洋地域の13か国から、国内予選で選ばれた12-16歳の生徒ら54名が参加し、水ロケットのスキルや参加国の文化について活発な交流が行われたことを確認し、また、大会の結果として、1位はマレーシアの学生へ、2位及び3位はインドネシアの学生へ、また、特別賞がベトナムの学生へ、それぞれ授与されたことを祝し、
61.
大会期間中、教員や教育者らにより、指導に関する資質の向上及び国際理解を図るための情報交換が行われ、各国の宇宙教育や手法に関する発表及び情報交換が行われたことを歓迎し、

(ポスターコンテスト)

62.
子どもたちが宇宙に対する夢を自由な発想で表現することにより、科学への探究心と創造力の伸長を図ることを目的とした、11回目となるポスターコンテストが、8-11歳の児童を対象に、「My Dream Planet」をテーマとして開催され、12か国から国内選考で選ばれた34作品の応募があったことを確認し、ベストポスター賞はマレーシアの学生へ、特別ポスター賞はマレーシアとベトナムの学生へ、JAXA賞はベトナムへ、フィリピンDOST賞はインドネシアの学生へ、それぞれ授与されたことを祝し、
63.
これらのイベントが地域の青少年宇宙教育を促進し、来年も継続されることを確認し、

(缶サット大会)

64.
画像取得、テレメトリ及び航行を小規模で機能させるために一般的なソーダ缶の容量と形状で統合し、衛星の実物をシュミレーションする「缶サット」の製作機会を学生に提供する「缶サット大会」が、フィリピンの主導により、11月12日-13日、ラグーナ県フィリピン大学ロスバニョス校で成功裏に開催されたことを祝し、
65.
同大会には、5か国から14-18歳の生徒24名が参加し、競技の結果、フィリピンの学生が優勝したことを祝し、
66.
缶サット大会は、個々の能力に最適化するものとして、キャリアパスの決定を行う年齢の学生が知見を得るための新たな教育手法として有効であることを確認し、

<提 言>

宇宙教育分科会(SEWG)への提言は以下のとおり:

67.
次世代の人材開発のため、青少年の科学への探求心と創造力を育む宇宙を素材とした教育活動の促進を奨励する。
68.
セミナー、イベント、ウェブサイトを通じて、教員や教育者向けの更なる機会、教育ツール及び有益な情報提供を支援する。
69.
青少年の宇宙への興味を喚起し、創造力・革新的な思考力を育む活動として、水ロケットイベント及びポスターコンテストの実施継続を奨励する。
70.
アジア太平洋諸国における自発的な教育プログラム、特にAPRSAF開催国におけるイニシアチブを促進し、連携の継続を呼びかける。
71.
教育に対する需要の増大に鑑み、教育の価値、開かれた参加の促進を通じて、多様なレベルにおける宇宙教育の進歩へ貢献することを求める。
【分科会の共同セッション】
72.
異なる分野の専門家の連携を通じて、イノベーションの可能性を追求するために、分科会の間で3つの合同セッションが行われたことに着目し、
73.
以下の合同セッションが行われたことを認識し、
A)
宇宙利用分科会-宇宙技術分科会
B)
宇宙技術分科会-宇宙環境利用分科会
C)
宇宙利用分科会-マルチGNSSアジア

<提 言>

合同分科会への提言は以下のとおり:

74.
イノベーションを更に促すために、異なる分科会における参加者間の交流を奨励する。
【マルチGNSSアジア】
75.
マルチGNSSアジア(MGA)に関する最新の活動報告を確認するとともに、アジア・太平洋地域におけるGNSSを用いた社会課題解決のための協力について活発な議論を歓迎した、
76.
アジア太平洋地域において、高精度の位置情報を得るために、使いやすいシステムの構築に向けた地域協力促進の重要性を確認した。
77.
第8回マルチGNSSアジア(MGA)カンファレンスが、2016年11月14日~16日、フィリピンで開催され、産業界、学術研究機関からの出席者や若手専門家の間で活発な議論が行われたことを認識した。
【New Cooperationセッション】
78.
New Cooperationセッションは、既存の分科会ではカバーされていない新しい技術や利用を特定する目的でAPRSAF-20の際に設置されたものであることを想起し、政府、宇宙機関、学会、民間セクター、NPOからの参加者から、APRSAFの活動への産業界の参加促進、次世代向けワークショップ、アジア小惑星監視ネットワーク(APAON)、小型衛星及び地上ネットワーク等を含む11件の提案が行われたことを認識した。
【展示】
79.
宇宙機関、民間企業、その他機関による展示を通じた活発なネットワーキングとコミュニケーションが図られたことを歓迎した。
【産業およびヤングプロフェッショナルに関するサイドイベント】
80.
JAXA、フィリピン科学技術省(DOST-PCIEERD)、米国務省の共催及びスペースファウンデーション及び宇宙世代諮問委員会(SGAC)の後援により開催された“The Innovative Space Enterprise Panel and Space Generation Leadership Mentoring”の成功を祝した。
81.
SGACが主催し、アジア・太平洋地域から学生、若手専門家が参加し、宇宙分野における地域連携を議論した第3回アジア・太平洋地域宇宙世代ワークショップ(AP-SGW2016)の開催を認識した。
82.
アジア・太平洋地域における宇宙政策を扱う、東京大学政策ビジョン研究センター(PARI)及びインド国家先端研究所(NIAS)が共催した国際ワークショップ「アジアにおける地域宇宙政策協力の構築」の開催を認識した。
【実行委員会(ExCom)活動報告】
83.
APRSAFの活動をより持続的で効果的なものとし、多様なアクター間の協力について相乗的な手法により強化を図った実行委員会(ExCom)の2016年における取組みに対して感謝の意を表した。
84.
APRSAFが地球観測委員会(GEO)のオブザーバー・ステータスを与えられ、APRSAF事務局が11月9日から10日に行われた第13回GEO本会合に出席した旨のExComからの報告を歓迎した。
【カントリーレポート】
85.
オーストラリア、インド、インドネシア、日本、マレーシア、大韓民国、ロシア、タイ、シンガポール、トルコ、UAE及びベトナムの代表者による、各々の宇宙活動および将来展望に関する報告を歓迎した。
【特別セッション】

(特別セッション-1:社会のための宇宙技術:技術が災害を低減する)

86.
フィリピン社会福祉開発省(DSWD)、フィリピン地球科学・リモートセンシング学会(PHILGRSS)、センチネルアジア事務局、フィリピン火山地震学研究所(PHIVOLCS)、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)及び地球観測衛星委員会(CEOS)からの発表を感謝するとともに、衛星画像を減災に利用するプロジェクトの紹介に続いて行われた活発な議論を歓迎した。
87.
地方政府および災害管理当局にとって有益な、台風、洪水、津波、地すべり、火山噴火、干ばつ及び山火事等の減災のための多様な宇宙技術応用を認識した。
88.
センチネルアジアの10周年を祝し、減災のための参加機関の取組をさらに強化する継続的な努力を奨励した。

(特別セッション-2:イノベーションのための小型衛星)

89.
行政機関、宇宙機関及び大学間での小型衛星開発における効果的な連携により実現したフィリピンの小型衛星DIWATA-1の成功を祝した。この連携は効果的な人材育成の場となり、宇宙開発に画期的にはずみを付け、また、国家的、地域的課題に資する取組みへ注目を集めることにつながった。
90.
手ごろな費用で開発可能で、様々な社会経済的恩恵をもたらす超小型衛星の優位性を認識した。
91.
国際宇宙ステーション(ISS)もまたAsian-Try Zero Gの例にみられるように、科学、技術、工学、数学(STEM)への関心を培うことを通じ、若者の教育にとって効果的であること確認した。
92.
将来実現可能な連携として超小型衛星およびより大きな衛星を集めることで可能となる衛星コンステレーション及び標準化センサーの協力を深化させるアイディアについて紹介があったことを認識した。
【アジア・太平洋地域における宇宙協力に関する報告】
93.
地球観測に関する政府間会合(GEO)、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、アジア開発銀行(ADB)及びアジア太平洋宇宙協力機関(APSCO)の国際機関の代表による活動報告を歓迎した。
94.
日本、英国及び米国の代表から、アジア・太平洋地域における活発な宇宙協力についての発表がなされたことを歓迎した。
95.
第68回国際宇宙会議(IAC)が豪州アデレードで、また国際宇宙探査会議(GLEX)が北京で開催されるとの情報を歓迎するとともに、2017年11月から2018年1月の間に東京で開催される予定の第二回国際宇宙探査フォーラム(ISEF-2)について日本から発表がなされたことを歓迎した。
【ラップアップ・セッション】

宇宙リーダー達から、ラップアップ・セッションにおいて以下の提言がなされた。

96.
宇宙デブリを含む宇宙政策についてアジア太平洋地域で議論する機会を設けることを提言する。
97.
センチネルアジアのような成功プロジェクトに続くものとして、APRSAFの枠組みを通じて多国間で組織できるような新たなイニシアチブの促進を奨励する。
98.
GEO/LEO活動における将来の方向性に関して更なる民間セクターからの関与を提案するとともに、宇宙探査の分野における政府による協力強化を提案する。
99.
新興国を支援するための技術移転をもたらす協力をさらに推進する。
100.
産業界に加え太平洋の島嶼国や南アメリカ諸国からさらに多くの出席者を招へいする。
101.
ISS「きぼう」でのユニークな実験を利用し、科学、技術、工学、数学(STEM)に関心を持たせるような機会の提供を通じ、青少年に刺激を与える宇宙教育イニシアチブをさらに推進する。
102.
同地域における宇宙活動促進のためのAPRSAFの貢献への謝意を強調する。
103.
社会経済的恩恵のための解決策を更に強化していくために、オープンフォーラムとしてのAPRSAFの精神に基づき、宇宙機関のみならず全てのステークホルダー間でネットワーキングの拡大を継続的に支援していくことを合意する。
【APRSAF-24】
104.
APRSAF-23の参加者は、次回APRSAF-24を2017年11月11日~17日の日程で、インド、バンガロールにおいて開催する提案を歓迎した。
 

APRSAF-23の参加者は、多様なトピックについて議論が行われたことに満足し、宇宙科学・技術・イノベーションを通じた未来構築のため、取組みを継続することを再確認した。